量子コンピューティング 2020 春・秋学期 大学院授業
授業概要と目的:量子力学は、電子や光子といったミクロな世界を 支配するもっとも基本的な物理の枠組みである。 量子力学は、半導体や超伝導物質、そして NMR(核磁気共鳴)といった現代のテクノロジ ーを影で支えている。このような量子力学を表舞 台へと引っ張り出し、量子力学の原理を積極的に 利用して計算を行うコンピュータが量子コンピュ ータである。本講義では、このような量子コンピ ュータがどのように記述され、どのような仕組み で機能し、どのような分野に活用できるかを理解 することを目指す。
前提知識:有限次元の線形代数と、初歩的な量子力学
第1回:ガイダンスと量子コンピューティングの導入
画像や写真等を多く使っているため非公開。講義内容はほとんど「驚異の量子コンピュータ:宇宙最強マシンへの挑戦」岩波科学ライブラリー に書かれた内容ですのでご一読ください。

第2回:量子力学の復習
[講義ノート][演習課題]
きっちり量子力学を復習したい人は、量子物理学I・IIを参照ください。
第3回:量子計算の基礎:量子ビット、テンソル積、量子演算 etc
[講義ノート]
第4回:エンタングルメントと量子性:量子テレポーテーション、ベル不等式、文脈依存性
[講義ノート][演習課題]
第5回:量子計算の基礎:古典可逆計算、万能量子計算(万能量子演算集合、Solovay-Kitaevアルゴリズム、トフォリ演算の合成、制御Uの合成、回路リダクション、様々な万能量子演算集合)
[講義ノート]
第6回:量子アルゴリズム:アダマールテスト、スワップテスト、固有値の推定、位相推定、量子フーリエ変換
第7回:量子アルゴリズム:位相推定の応用、素因数分解アルゴリズム、量子シミュレーション(量子多体系の基底状態)、逆行列計算
[講義ノート]
第8回:part 1 グローバーの探索アルゴリズムとその応用、πの計算との不思議な対応、part 2 混合状態、密度演算子、縮約密度演算子
[講義ノート]
第9回:一般の量子操作、量子ノイズ、アナログとデジタル:量子誤り訂正の必要性
[講義ノート]
第10回:量子誤り訂正、スタビライザ符号、エラーの離散化
[講義ノート]
第11回:量子誤り訂正符号、符号距離、Toric code、エラー検出と訂正、平面表面符号、量子誤り訂正とトポロジカル物理
[講義ノート]
第12回:誤り耐性量子計算、論理演算、シンドローム測定、連接符号化(concatenated quantum computation)、閾値定理
[講義ノート]
第13回:スタビライザー形式における測定、表面符号を用いた誤り耐性量子計算(braiding)、表面符号を用いた誤り耐性量子計算(lattice surgery)、シンドローム測定と誤り訂正、実験的現状
[講義ノート]
第14回:量子プログラミング環境:IBM Q experienceを使ってみる(基本的な使い方、トフォリ演算、グローバー探索)、pythonを使ってみる(numpy、sympyを使ったブラケットの計算)、量子コンピュータシミュレーターqulacsを使ってみる。
[講義ノート(ブラウザ上で説明したので動画およびgithubのリンク先にあるjupyter notebookを参考にしてください)] [github link]